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2011  07:17:30

あるがままに

原書:Buddha's Brain: The Practical Neuroscience of Happiness, Love, and Wisdom
訳書:ブッダの脳 心と脳を変え人生を変える実践的瞑想の科学


「一の矢は受けても二の矢は受けない」という仏教の教えがあるそうですが、人間のほとんどの苦しみはこの二の矢だそうです。一の矢は人生で避けられないけど、これに反応して自分で射ってしまうのが二の矢。

仏教で人間の煩悩を大きく3つ挙げています。貪・瞋・癡(とん・じん・ち)の3つです。あ~、漢字が難しい。英語だと本書で、greed,hatred,delusionとなっています。

とにかく、この三毒のどれかに毒されて二の矢を射つんですね。人間って、ホントに、と思いますが、よい事が起こったときも、二の矢を射つことがある。たとえば、褒められたときに、素直に喜ばないで、ただのお世辞じゃないかとか、いろいろ考える場合。

で、多くの人がこの自分で射った二の矢で苦しんでいるのですが、次から次に二の矢を射つものだから、身体と精神にマイナスの影響を与えています。つまり、二の矢を受けて、脳が赤信号を発する。

すると、交換神経系と視床下部が活性化されて、ストレスホルモンが分泌されて心拍数や血圧が上がり、活動モードに入る。これが継続すると、扁桃体が刺激されて、不安が起こり、潜在記憶(潜在意識にある過去の景観の形跡)の形成を促す一方で、顕在記憶(実際に起きたことの記憶)の形成に重要な働きをする海馬を疲弊させる。こうして、正確な顕在記憶が欠けた記憶、歪んだ苦痛の記憶だけが記録されることになる。

問題は、ひっきりなしに交換神経系が活性化されること。もう一つの自立神経系である副交換神経系(リラックスしたときに活性化され、休息と消化を司る)とのバランスを保つことが重要。深呼吸を5回することで、交換神経系と副交換神経系を交互にゆるやかに刺激してバランスを取ることができる。

何が起きても、あるがままで受け取り、心を乱さない。

この悟りの境地への段階は、1)自分で二の矢を射ったことに気づかない 2)感情に流されているのは分かっているが、自分で抑えがきかない 3)感情の上で苦痛を感じるが、客観的に見ることができ、過剰反応しない 4)苦痛すら感じず、問題とも思わない、の4段階で、多くの人は2の段階で苦労している。それでも、たゆまず努力を続けていくうちに、古いストラクチャーを取り払って、新しいストラクチャーを築くことができるようになる。

ところで、たまたま、きのう、Sonia Ricottiという人の"Unsinkable"という本のプロモーション・メールが来てましたが、彼女は健康を害し、経済的な打撃を受けて家を失い、愛情関係も破綻。一度に全部が起こったそうですが、そこから立ち上がった経験から、どう対処すればよいかということを本にしたというすごい女性です。その彼女もビデオで、まず、起こったことは抵抗せず、勝手に自分なりの解釈をせず、そのまま受け入れることが大切だと言っていたのが印象に残りました。
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 Buddha's Brain

2 Comments

ぴーちくばー1223  

Re: タイトルなし

そうですね。小宇宙というのは当たっているでしょうね。

2011/06/13 (Mon) 02:15 | EDIT | REPLY |   

fictionreader  

「Time」の6月6日号で楽観論の科学という特集が組まれていて、人間は本来楽観主義者であるという説を唱えている人がいるようです。人類が悲観主義者であればいまだに洞穴での共同生活から抜け出せていなかった。ただ人には危険予知能力があり、楽観主義者でも将来の危険予知のことを考えている時間が最も長いという。人間の脳はこの両方の絶妙なバランスの上に成り立っているというのです。人間の脳はきっと小宇宙なのだと思いました。

2011/06/12 (Sun) 18:35 | EDIT | REPLY |   

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