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2011  13:02:20

脳のネガティブ傾向回路

原書:Buddha's Brain: The Practical Neuroscience of Happiness, Love, and Wisdom
訳書:ブッダの脳 心と脳を変え人生を変える実践的瞑想の科学

数ある宗教の中で、仏教は、信仰というよりも心の持ち方に焦点を当てていることで、科学(心理学や神経学)と最も近いところにあるようです。

本書によると、人間が苦悩するのは、進化の過程で得たサバイバル戦略の副産物だということです。

その戦略というのは、境界線をはっきりさせるために自他を区別し、対応範囲を限るために変化をきらって安定性を求め、機会に近づき脅威を避けるために、永続性のない快楽に執着して苦痛に抵抗する。

この戦略のために、境界線が脅かされたり、変化が起きたり、当てが外れたり、脅威が高まるという条件が起こると苦痛を感じるように神経回路が形成された。

サバイバルには危険信号の方が報酬よりも重要なので、脳は、他にすることがないときは、危険がないかを常に確認している。だから、ポジティブな情報よりもネガティブな情報を察知する方が早い。そして、ネガティブなことは将来のために、一度起きただけで、しっかりと記憶に刻まれる。ポジティブなことよりも記憶のプライオリティが高い。

この脳の「ネガティブ偏向」によって、不安、怒り、悲しみ、意気消沈、罪悪感、恥といった不快感が引き起こされる。どうしても過去の失敗や失ったものに注意が向いてしまう。今できることがないがしろにされ、まだ起こりもしないことを心配する。

しかも、過去の出来事を何度もシュミレートしては、神経回路をゆるぎないものにしてサバイバルのための行動をパターン化させる。 自分の思い込みで作り上げたミニ映画を一日に何度も上映しては、勝手に苦しんでいるんですって。

自分で自分の喉をしめて苦しんでいるようで笑っちゃいますが、実際に苦しんでいるときは分からないですよね。でもこうして苦悩のプロセスが分かると、何となく、突き放して考えられそうです。あ、また、勝手に苦しんでるなって。

ひとつ、感心したのは、苦しんでいる自分への思いやり(self compassion)を推奨していることです。これは自尊心よりも感情が伴うので、困難な状況を跳ね返し、自信を取り戻すのにより効果があるということです。

そして筆者が強調しているのは、この脳の「ネガティブ偏向」回路を変えることが可能だということです。それには、日々の意識的な努力がいるわけですが、ここで、仏教の教えが生きてくるんですねぇ。

まだまだ続きます。
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